ドコカンカ書庫

おさいさんとヨモが入り浸る鄙びた書庫

“それ”以外のことはすべて忘れなさい

 

 

 

 

 

今回の本:人はなぜ戦争をするのか

作者:アルベルト・アインシュタイン ジークムント・フロイト

2016年 講談社

 

※だいぶ前に書いた記事なので感触がちょっと変わってきていますが、備忘録のためそのまま掲載します

 

 

 

Remember your humanity, and forget the rest.

 

 これは1955年に発行されたラッセル=アインシュタイン宣言の一文

 

あなた方の人間性を心に留め、そしてその他のことは忘れよ。

 

アインシュタインはこの宣言が発行される3か月前に亡くなっており、これは彼から人類への遺言状だとも言われてい。この宣言から遡ること23年、国際連盟アインシュタインにある依頼をした。それはいまこの世界で最も重要だと思われる事柄について、最も意見交換したい相手と書簡を交わしてくださいというものだった。彼は精神分析学の創始者ジークムント・フロイトを指名し、問いかけた。

 

人間を戦争というくびきから解き放つことができるのでしょうか?

(とりあえず私はくびきが何なのか調べた。牛の画像が出てきた)

 

先にフロイトの結論をお伝えしよう。彼は言う。戦争は人間の内なる欲動から引き起こされる(ここであえて欲動と書くのはそれが本能とは明らかに異なるものだからだ)それを消し去ることはできない。しかし文化の発展によって、そ方向性を変えることができるかもしれない。

 

文化の発展彼がこの回答を導き出しておよそ100年経った。この書簡の依頼元である国際連盟は残念ながら第二次世界大戦を止めることができなかった。幸いなことにその後世界規模の戦争は起こっていない。しかし戦争そのものは、残念ながら無くなっていない。戦争形を変え、規模を変え、今に続いている。クラウゼヴィッツの「戦争論」を読んだら少しはわかるようになるかなと思いつつ、手を出せていない。

 

そしてフロイトが提示した戦争を抑制することができるかもしれない、人間の欲動の進化としての文化は、いまどの様な姿になっているのだろう。

 

アインシュタインが提示した「統一」による平和をフロイトはやんわりと避け、「相互理解」による平和を主張した。私たちはみな平和主義者になることができる内なる衝動を抑えることができる。

果たして私たちは彼の期待に応えられているだろうか。フロイトの死後、アインシュタインがたどり着いた人間性の保持という答えの、私たちは何ができるのだろうか

 

常に自分に問いかけ続けよう。私たちにはそれしかできないのだから